給排水管の更新工事について |
建物は躯体と共に設備も劣化して来ます。特に給排水管の劣化は、住民の日常生活に 直接関係する重要問題です。そして給排水管は共用管 と室内の専有管にまたがり、 その取扱いにも色々と問題点が発生して来ます。 築20年以上の集合住宅では、給水管はVLP管(ビニールライニング管)による配管が 一般的で、エルボジョイント部の腐食や錆びによる水圧低下、赤水や漏水のトラブルが 発生します。給水管の改修工事では、配管の更新による取替え工事と、ライニングによる 延命工事を選択する管理組合が多い様です。 しかし、延命工事の理解不足によるトラブルも多いと聞きますので、管理組合は広報等に よる内容の通知に気を付けて下さい。 |
配管取替えによる更新工事 老朽化した給排水管を、HIVP管(耐衝撃性硬質塩化ビニール管)に取り替えます。HIVP管 は腐食の心配や地震による破損も少なく、保守性に優れた配管材料です。 |
ライニングによる延命工事 錆びの進行した給水管を、FRP樹脂によるライニングにより取り替え時期を先送りする延命 工事です。一般的にダブルコーティングで10年間保証と言われていますが、追跡調査では 数年で剥離箇所も多々出て来る様です。 ライニング工事は、一回のみの延命処置で次回は取り替え更新工事が必要となります。 |
工事計画の注意点 赤水や錆び対策には上記工法以外に化学工法もありますが、管理組合としての工事目的を 明確に把握して、工法等プランニングする必要があります。住民は如何なる工法であれ今回 工事で全てが解決されるものと思い、再度の工事の必要性まで理解出来ていない場合が多 い様です。 配管取替えによる更新工事の場合にも、露出配管か完全隠蔽配管とするのか、また共有部 のみ管理組合責任とするのか、専有部迄組合が管理するのか色々な問題点を全て解決しな ければなりません。工事計画は各方面から検討して、最良の方法を選択しなければなりませ んので十分に時間を掛けて、専門家の意見等も参考にして決定して下さい。工事金額のみを 選考理由にすると大きなトラブルとなります。 |
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「ビデオスコープによる管内調査」 既設給水管内部を撮影して、管内の腐食 状況を調査します。 エルボ部分の腐食による錆こぶの状態 閉塞による水圧不足や、腐食による漏水 の原因となります。 |
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「管内調査後の赤水」 管内にビデオスコープを挿入した後には 錆びによる赤水が出ます。 腐食が進行した場合には、日常的に赤水 が出る様になります。浴槽の水に濁りを感 じた時は赤水です。 |
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「給水管のサンプリング調査」 既設給水管を切取り調査をします。 当サンプルの閉塞率は60%ぐらいで水圧 不足で、2ヶ所給水は不可能な状態でした。 |
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「給水管のサンプリング検査」 同 上 |
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「高架水槽方式を直圧に切替え」 高架水槽や屋上配管を全てを撤去し水道 本管から、直圧給水方式に切替え全ての 配管を更新します。 直圧方式は、水道本管の圧力により可能 な場合と、ブースターポンプの設置が必要 な場合があります。 |
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「不要高架水槽の撤去」 不要高架水槽や設備配管の全てを撤去 しますので、法定検査や保守点検等が 不要となります。 |
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「PS内共用部の竪給水管の更新」 PS内の新設配管後に旧管を撤去し、仮給 水配管なしでバルブ切替えにより、一日断 水で切替えました。 仮給水設備もコスト面で大きな負担となり ます。白いBOXは、全戸同圧給水とする 個別減圧弁で、圧力の違いによるトラブル 解消のために取付けます。 |
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「天井内での隠蔽配管」 専有部は、天井配管による隠蔽配管とし 各カラン部は壁内立下り配管で、部屋内 は全て隠蔽配管としました。 既設床配管は、キャップ止めによる廃棄。 |
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「台所給排水管の更新」 流し台を取外して、給水管と配水管の取替 え更新をします。 システムキッチン等に変更している場合の 扱いは、事前協議の必要があります。 |
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「配水管のビデオスコープによる調査」 配水管も、給水管と同様に錆びや腐食による トラブルが発生して来ます。 上記写真の下部配管が配水の横引き管です。 エルボジョイント部の腐食による漏水トラブル が多々発生し、取替え更新しました。 |
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「配水管のサンプリング調査」 台所流し台の排水が悪く、切断調査をした ところ、廃棄油による目詰まりでした。 業者による管洗浄後5ヶ月後です。 |
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「屋外配水管の取替え」 屋外竪配水管と戸別配水管は、伸縮 エルボによる接続とします。 |
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「露出配管による更新取替え」 露出配管により更新をした集合住宅です。 業者まかせにせず、住民の資産価値低下 につながる工法は避けるべきです。 |
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